グリンダムの王族
その頃、セシルはラルフとカインと供に議会に出席していた。

ファラントへの出発が3日後となり、その同行随員などが決定していた。
婚儀はまだ先だが、セシルは少し早めにファラントに行く必要がある。
そこで婚儀の中で行われる儀式の作法などを事前に教わる予定だった。
カインは婚儀に参列するのみなので、セシルからは遅れてグリンダムを発つことになった。

議会の後、ラルフはカインとセシルに「たまには3人で夕食を食べるか。セシルが居なくなる前に」と提案した。

「いいね」

「是非!」

2人は揃って賛同した。



その夜、3兄妹はセシルの部屋に集まり、兄妹水入らずで夕食をとった。
そんな風に3人だけで集まるのは、思えば久し振りだった。
食事の後も、カインが持ってきたぶどう酒を開けて飲みながら話を続ける。
もともと酒好きな3人の手により、それはあっという間に消えてなくなった。

「美味しかった!」

ご機嫌のセシルの傍らで、カインが空になった瓶を手に、「持ってくるんじゃなかった」とか言っている。

どうやらほとんどセシルに飲まれてしまったらしい。
ラルフはそんな2人を笑みを浮かべて眺めていた。

「リズは元気?」

セシルが聞いた。
カインはその言葉にちょっと笑いながらぶどう酒の瓶をテーブルに置いた。

「すっかり侍女になってるよ。最近毎日午後から夜まで厨房で働いてる」

セシルは目を丸くすると、「なんで働かせてんの??」と聞いた。

「それが楽しいらしい。おかげで俺は完全に放っておかれてる」

「、、、側室に王弟が放っておかれるっていうのは初めて聞いたな。
なんで好きにさせてるんだ」

ラルフが不思議そうに問いかける。
彼からしたら信じられないのだろう。
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