グリンダムの王族
「―――私にだって好きな人がいたわよ!!!」

セシルは振り絞るように叫んだ。
そしてハッとしたように固まる。

クリスはその言葉に目を見開いて固まった。

思わず口をついて出た言葉に、セシルは自分自身で衝撃を受けた。

2人の間には重い沈黙が流れた。

「、、、そうよ、私だって、、、」

セシルの目に涙が浮かんだ。その目は宙を見たまま、固まっている。
クリスは呆然とそんなセシルを見ている。

「結婚なんかしたくないって言いたかった、、、。
ずっと彼のそばに居たいって言いたかったわよ、、、。
王族なんかに生まれなければって思ってた、、、」

セシルの頬を涙が次々と零れ落ちた。
溢れ出すように言葉が出てくる。

「好きって伝えることすら、、、できなかった、、、」

セシルが目を閉じて俯いた。その目から押し出されるように涙がこぼれ出た。

そんな顔を隠すように、セシルはクリスに背を向けた。

クリスはただ呆然と、彼女の背中を見つめていた。
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