グリンダムの王族
アランは顔をしかめた。王の質問の意図が分からないのだろう。
少し困っているようだ。

「ギルバードは確かに統率力があり、剣の腕もたつ騎士だと思っております」

アランはそう答えた。「、、、ただ、、、」

アランはそこまで言って言葉を止めた。
今回の件に関して彼の中でも何か1つの可能性が浮かんでいるのだろう。
ただそれを口に出すのはためらわれるようだった。

ラルフがそれを察したように、「あいつの目的は私かもしれない」と呟いた。

アランが目を見開いて王を見た。

彼も同じことを考えていたに違いない。
ギルバードが仮に隊長を斬ったのだとすると、その目的は、、、。

「だとしたら、彼を隊長として任ずるのは危険です」

アランが言った。ラルフが笑みを浮かべた。

「可能性の段階では何もできない。
あいつの目的をさぐるためにあえて近づける。
それにお前を隊長に任ずれば、次の標的はお前になるということもありえる」

アランはその言葉に何も言わずに王を見た。

「ギルバードの行動に気を払っておけ」

ラルフが重ねて言った。

アランはゆっくり頭を下げると、「かしこまりました」と応えた。

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