グリンダムの王族
「問題は、、、ないけど、、、」

セシルは完全に困惑していた。クリスの望みが分からない。

「どうして今なの、、、?」

セシルは思わずそう問いかけていた。

「今だと何か困る?」

セシルは顔をしかめた。

何もかも分かった上でやっているとしか思えない。
それも自分に対する復讐なのだろうか。

だとしたら、いい手だと思った―――。

セシルはため息をつくと、目を閉じた。

「いいわよ、もう。
好きにすれば、、、?」

何もかも、どうでもよかった。クリスに対抗する元気すら沸かない。

セシルはクリスの体を止めていた両手を離すと、自分の体の横へと放り出した。

クリスはしばらくセシルを見ていたが、やがてゆっくり体を起こした。
クリスの体が離れたことを感じ、セシルが目を開く。
すぐ側でクリスが目を伏せて座っている。
その顔はなんだか泣きそうに見えた。

セシルはそんなクリスを目を丸くして見ていた。

「、、、どうせ子供だよ」

クリスが小さく呟いた。その目から涙がこぼれ落ちる。

「え、、、??」

セシルは思わず間抜けな声を漏らした。

セシルの視線から逃げるように、クリスは慌てて顔をそむけると寝台を降りる。

そして呆然と彼を見送るセシルを残し、足早に部屋を出て行った。

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