グリンダムの王族
ファラントとグリンダムの会談は、完全にラルフの思惑通りに進んだ。

“貴国の決定に任せる”と言われたアレクサンドル王は、鉱山の権利を3割もらえればいいと答えた。

自国にありながら、他国に掘られて7割も持っていかれるとは、、、。
カインは証書に印を押しながら苦笑した。

会談の後、アレクサンドル王は晩餐会にカイン達を招待したが、ラルフに速やかに帰るようにと言われているので辞退した。

カインが早々に帰ると聞いて、セシルは覚悟を決めて彼のもとへ向かった。

クリスはあの後何も言わずに部屋を出て行った。
彼の行動の意味は結局分からずじまいだった。
セシルが見送りに現れると、カインは笑顔で迎えてくれた。

「久し振りだからゆっくり話したいんだけどさ。
ラルフに早く帰るよう言われてんだ」

セシルは、「そうなんだ、、、」と残念そうに言った。

カインは少し周りを気にすると、その口を妹の耳元に寄せた。

「ジョルジュが死んだ」

セシルはその言葉に目を見開いて固まった。

「どうして、、、」

言いながら、アランが今ここに居ることの意味が分かった気がしていた。
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