グリンダムの王族


絶対クリスは過去に女性経験が無い。

それがセシルの感想だった。

クリスはセシルの体に腕をまわしてくっつくようにして寝ている。
ムードもへったくれもなく、とりあえずがっついた上に、終わったら即眠ってしまった。
それでも初めてのくせに、失敗しなかっただけスゴイのかもしれないけど。

セシルはクリスがよく眠っているのを確認すると、そっとその腕から抜け出した。
そして少し離れたところでまた横になった。

―――これで良かったんだ、、、。

セシルは自分に言い聞かせた。
王子妃としての役目をやっと果たせそうである。

セシルはこんな時に思い出したくないのに、やっぱりアランの姿を思い出した。
アランはきっと次の近衛騎士隊長になるだろう。

今まで自分が独り占めしてきて誰も近寄れなかったかもしれないけど、これからはきっと彼に恋する女の子が近寄ってくるはず。

「つまんない女の物になったら、許さないから、、、」

セシルは独り言を呟くと、じっと宙を見た。

静かな部屋の中には、クリスの寝息だけが聞こえていた。
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