グリンダムの王族

戦乱の後

結局ゴード軍は降伏した。

さきほどまで充満していた熱気が急速に退いていく。
戦意を喪失した兵士達は黙ってグリンダム軍の指示に従った。

アランの指揮のもと、ゴード軍を捕獲し、将軍を捕獲する。その様子を、ラルフはただ黙って見守っている。

ふと気付くと、カインも城内に入ってきていた。
ラルフに近寄りながら、口元に笑みを浮かべていた。

ラルフはカインに、同じように笑みを返した。

「ギルバードはどうした?」

側に来たカインは、開口一番そう聞いた。

「死んだ」

ラルフは簡単に答えた。
そして、ふと空を仰ぐ。

「戻ってきた、、、」

ラルフは言いながらふっと笑みを漏らした。
カインがつられて空を仰ぐ。そこには鷲の姿があった。
翼を広げ、白々と明け始めた空を優雅に旋回している。

カインはそれを見つけると、目を丸くした。

「あれって、もしかして、、、」

「ギルバードの鷲だ。アルンハイムで離した」

ラルフが答える。

「、、、やはり俺の考えは間違っていなかった」

鷲は迷い無くゴード王国城に舞い降りてくる。
カインはそれを見守る兄の横顔を見ながら、

「、、、もしかして、たった今初めて確信した?」

と問いかけた。

「あぁ。ギルバードは結局吐かなかった」

ラルフが平然と応える。カインは目を丸くした。

「、、、あ、そう」

「将軍には吐いたと言ってある。
あいつは大義名分を重んじるからな」

兄の言葉に、カインは思わず吹き出した。

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