グリンダムの王族
街に着いた2人はリズの働くパン屋に向かった。
そこでパンを買う。そして街を歩き回りながら、色んなものを見た。

リズはお店を1軒1軒案内してくれた。
野菜や果物を売る市場、衣服を売る仕立て屋、夜は酒場となる食事処。
それぞれの店が客を呼ぶ声であたりは活気に満ち溢れている。

そんな一つ一つが新鮮で、クリスは時間を忘れて歩き回った。

沢山歩いて満足すると、2人は街中にある長椅子に腰掛けてパンを食べた。
珍しくもないパンなのに、クリスにはそれがやたら美味しく感じた。

「クリスは、どうしてグリンダムに来たの?」

リズの質問にクリスは返答に困った。

「親戚が住んでるんだ。
それで、、、会いにきた。」

とっさに適当な嘘をつく。
リズは納得したように頷いた。

「ファラントは遠いの?」

リズが聞く。
クリスはちょっと考えると、「ん、、、ちょっと、、遠いかな」と答えた。

「それじゃ、たまにしか会えないのね」

リズが気の毒そうに言った。

「いいんだ。たまにで。
こうして遊んでるほうが楽しいよ。」

その言葉にリズが微笑む。
吸い込まれそうな笑顔に、クリスの胸はまた高鳴った。

「明日は、、、仕事?」

クリスの問いかけに、リズが頷いた。

クリスはリズから目を逸らすと、「そっか、、、」と言って目を伏せた。



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