グリンダムの王族
クリスは翌日も仕事帰りのリズに会いに湖へ行った。

昨日思わず抱きしめてしまったが、彼女はまた会う事を了解してくれた。
自分に同情してくれているのかもしれない。
彼女の真意は分からなかったが、クリスにとっては何でもよかった。
とにかくリズと話がしたい一心で、グリンダム城を抜け出した。

さすがにその行動にアランが気がついた。
クリスの動きに気を払っていたので、彼が居なくなったことと、馬が居なくなっていることはすぐ分かった。

アランはすぐに近衛騎士隊長のもとへ走った。

「個人的に調査したいことがあるのですが、外出を許して頂けますか?」

アランは隊長にそう申し出た。

隊長は、「内容による。話せ」と言った。

アランは迷ったが、クリス王子が1人で出かけていることと、
その先でセシルではない誰かと会っている可能性があることを話した。

「まだ決まったわけではありません。
可能性の段階なので、確かめたいと思っております。
私の見当違いであれば、それに越したことはないのですが」

隊長は顔しかめて少し黙ったが、しばらく考えるような間をおくと、「分かった」と言った。

「確かであれば相手の身元を調べて来い」

アランはその言葉に、「かしこまりました」と応えた。

そして近衛騎士隊を離れ、一人で出かけるべく去って行った。

近衛隊長は険しい表情で彼を見送った。

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