グリンダムの王族
「、、、それが必要ですか?」

ラルフがそう聞いた。宰相は慌てて、「とんでもございません!」と言って立ち上がった。

「クリス様、、、。陛下のご意志は私が承っております」

宰相がたしなめるようにクリスに伝える。
クリスはそんな宰相に目もくれない。

じっとラルフを見たまま、「検討は必要です。婚姻は決定できません」と繰り返した。

ラルフはじっと王子のライトブラウンの瞳を見返している。
王子の目には決して退かないという意志が感じられた。

カインとセシルは、ただ目を丸くしている。
そしてその目を同時に兄へと向けた。

ラルフは特に動揺する風でもなく、ゆっくり頷いた。

「、、、分かりました」

ラルフの言葉に、カインとセシルはまた目を丸くする。
そしてお互い目を見合わせた。

ラルフがあまりにあっさり退いたので、驚いたのである。

クリスはラルフの言葉に、少しほっとしたように緊張を解くと、
また椅子に座った。

宰相はそんな彼を、ただ呆然と見ていた。
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