グリンダムの王族
その後グリンダムには、ファラントから婚儀の日程に関しての書状が届いた。
婚儀は1ヵ月後に、ファラントで行うことになった。議会の場でその書状に関して宰相から報告を受けたラルフは、

「”問題ありません”と返事しておけ。
セシルにも伝えて、準備をさせろ」

と指示をした。宰相は、「かしこまりました」と応えた。

「お前もだ」

ラルフは隣に座るカインに言った。
カインも婚儀に参列するため、1ヶ月後にはファラントに行くつもりでいろという意味だった。

カインは「分かった」と言って頷いた。



議会の後、カインとラルフはまた2人だけ部屋に残って話をしていた。
今日はどちらかというと、雑談のための時間になっていた。

「そういえば、あの少女は元気か?」

ラルフがカインに聞いた。
カインは、「あの少女?」と言ってから少し考えると、「あぁ、リズか、、、」と呟いた。

「そうだ。あの子には特に必要がないので、妃としての教育は受けさせていないし、後宮内の妃達とは身分が違うから、交流も無いだろう。
お前が構ってやらないと、つまらないだろうな」

「俺も行ってないからなぁ」

カインがのんびりと応えた。ラルフはその言葉にちょっと意外そうに、目を丸くした。

「気に入らなかったか」

「手出してないんだよ。泣いて抵抗されたからさ」
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