グリンダムの王族
「ラルフ以外の男はダメだってさ。自分はラルフの側室だからって」

「なるほど」

ラルフは納得したように頷くと、「立派な心がけだ。他の妃達にも見習ってもらいたいものだ」と冗談混じりに言った。

「そしたら俺が困る」

とっさにそう言ったカインの言葉に、ラルフは楽しそうに笑った。

そんな兄を見ながらカインは少し考えていたが、ふと、「正式に譲ってもらうって手もあるか」と呟いた。

ラルフが”ん?”というようにカインを見る。

「俺の側室にしようかな」

カインが改めてそう言った。そしてラルフを見る。
ラルフは、「あぁ」と言うと、「それは構わない。そうするか?」と聞いた。

カインが頷いて、「そうする」と返す。
猫の子を譲り受けるかのような、実に簡単なやりとりだった。

「ただ、、、」

ラルフはクスッと笑った。「どちらにしろ泣かれるような気もするけどな」

カインはその言葉に、何も言わずに苦笑した。
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