男子、恋をする

声を大にして叫んでやりたいのは山々。


だけど……今ここで君原妹を否定したりすれば、せっかく消えた寿梨の不信感が振り返すかもしれない。



……それはなんとしても避けたい!



「は、はは。まぁ……頼りになるから、さ」



頼りになるっていうか脅えてるっていうか……。

とにかく頭が上がらないことには変わりない。



渇いた笑いで笑い返す俺の前に、



「あぁ戻ったか。わざわざ悪かったな、寿梨」



声を聞き付けた会長が生徒会室から顔を出した。



いつも堅い表情した会長がちょっとだけ柔らかい顔をするもんだから、



「ううん……これくらい」



嬉しそうに笑った寿梨は頬っぺたをピンク色に染めながらいそいそと中に入って行ってしまった。



……なんだこれ。

糠喜びの後に一気に突き落とされる現実の無情さったら……。


慢性トラウマ疾患のハートに更に塩を塗るような……悪魔の所業としか思えない。



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