男子、恋をする

「澪斗ー。おまえ台本カバンのとこに忘れてたぞー」


「あ……」


渚の入れた例のコミックスのせいで朝から動揺してしまったからな。



俺としたことが台本を持ってくるのをすっかり忘れてしまっていた。



「ったく。主役様がそんなことでどうするんだよっ。ほら」


「あぁ悪い…………っ!!」



まさか那津に助けられるとは不覚だ。

珍しく気の利く那津から台本を受け取った瞬間。



少しでも那津の気遣いを真に受けた自分を呪った。



「いやぁ~。澪斗もようやくこっち方面に興味を持ってくれたか……って痛ッッ!!」


「……もういいって。もう……」



渡された渚のコミックスの角を思い切り那津の脳天にぶちこんだ。



頭を押さえて悶絶する那津がぼんやりとした視界の隅に映る。



……ざまあみろ、バカタレが。



やられっぱなしはもうごめんなんだよ。



神様……俺はもう疲れました。


そんなに文武両道眉目秀麗な俺が嫌いならいっそ殺してくれ……。


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