男子、恋をする
正直今はどんな顔して会ったらイイからわかんないから、これでちょうど良かったのかもな……。
なんて思ってるうちに堪えていた眠気に一気に襲われた。
あれからどれくらいの時間がたったのか。
深い眠りが徐々に浅くなっていく。
睡眠で体力が補われたのか、体が楽になってるのを微睡んだ頭で感じた。
……これなら今すぐに起きて、劇の練習に入れるかもしれない。
頭の片隅に劇のことが引っ掛かっていたせいか……。
「優しくしてねっ。澪斗きゅんっ!」
ぼやけた意識が開けた先に、女装した那津が手を伸ばしていて……。
「ぅわっ!!」
最悪な目覚めで布団から飛び出した。
目覚める直前に見た女装した那津に迫られる恐ろしい夢が脳裏に焼き付いて思わず身震いする。
あんなのが正夢にでもなったらシャレにならん……。
寝ていた布団は熱のせいか悪夢のせいか……酷い寝汗でしっとりと湿気っていて心身共に気持ち悪かった。