男子、恋をする
王子は言いました。
「この者に永遠の別れを誓え。そうすれば今宵のことは忘れよう」
姫の心は張り裂けんばかりに痛みました。
ここで頷けば、愛する青年とはもう二度と逢えない。
しかし、拒めば青年は咎められてしまう……。
苦渋の選択の末、姫は涙を堪えながら顔を上げ、
「……愛しています、さようなら」
澄み切った可憐な声で、永遠の愛と永遠の別れを青年に告げ……自らの命を絶ったのです。
その手には青年に貰った八重咲きの真っ白なクチナシの花が、しっかりと握られていました。
――学年演劇台本より抜粋。