男子、恋をする

扉一枚隔てた中から、


「あ、鮎花ちゃん……ちょっと、出来るようになったよ」


「ほんとにちょっとだがな」


「寿梨にしては上出来よ」



嬉しそうにハシャぐ寿梨の声が会長と君原妹の笑い声と重なって、なんだか胸がキュッとなる。



なんだよ俺の心臓……。
意外と女々しい自分の感情がカッコ悪い。



この胸の痛みの理由はまだ、俺には認めることが出来そうになかった。



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