男子、恋をする
ビビった時のまんま固まった俺の表情をじっと見つめ、見透かしたような目で伺う君原妹は、
「大城くんって、寿梨が好きなの?」
今度は急激に俺の顔の温度を上げてしまった。
俺のバカ!
このタイミングで顔を赤くしたりしたら……。
「……へぇ」
ほら案の定。
君原妹にニタッて嫌な笑い方をされてしまった。
この流れ、めちゃくちゃマズイ。
「そ、そんなワケないだろ? イヤだなーははは……」
腰に当てた右手で脇腹をつねり、真っ赤になった顔を出来る限り鎮めてみた。
油断したら頭の中に寿梨の顔が浮かんで、もっともっと指先に力を入れたら目尻に涙が滲んだ。
こんなんで作り笑いしたから、引きつってんのがよくわかる。
「変な顔ね」
「……ははは」
作り笑いが苦笑いに変わった。
相変わらず君原妹は無表情な顔してるな。
ちょっと羨ましいぞ、そのポーカーフェイス……。
「まぁいいわ。そういうコトにしとくわ。……どうせ寿梨には嫌われてるみたいだから」
言うなり俺の横を通り抜けた君原妹は、超冷たい笑顔を浮かべて生徒会室の中へと消えていってしまった。