ばうんてぃ☆はうんど・vol.3~ほーんてっどほすぴたる《改訂版》
 ホントなら、ダチとショッピングやらカラオケやら行って、授業サボってスマホいじって、アフタースクールにスイーツでも買い食いしてSNSに上げて、男の話でもしてるのが楽しい年頃なんだ。それがなにを思い立ったんだか、こんなヤバい仕事にハマっちまって。無理してる――って感じにも見えねえが、ここはあいつの居場所じゃねえような気がする。
「――少し考えた方が良いかもしれねえな。あいつの将来」
 別に俺はあいつの親でもなんでもねえんだから、そこまで面倒見てやる義理はねえし、将来ってのは本人が決めるもんなんだが。だがそれでも、相手がまだガキともなりゃ話は別だ。大人として、間違った将来を選択しねえように、ある程度は導いてやらなきゃならねえ気がする。そっから先は自分で決めることだが。
「……偉そうに考えちゃいるが、結局のとこ、俺もまだ大人になりきれてねえんだけどな……」
 昔、自分がガキだったころは、20代後半なんつったら、立派な大人に見えたもんだ。けど、今自分がその年になってみたらどうだ? なんか、いつどの時点から大人になったんだか、まるでわからねえ。10年くらい前から、全く成長してねえ気がする。
「まさか一生この疑問抱えながら、生きてかなきゃならねえってのか?」
 そいつはごめんこうむりたかった。ディルクのやつはどうなんだ? あいつなら、なんか答えを持ってるような気がする。この仕事が片付いたら、ちょっと聞いてみっか。
 などと考えながら歩いていると――

ビー。ガシャン。

 どこか遠く――恐らく通路の奥の方から、何かのブザーとロックが外れるような音が聞こえた。
(何だ……?)
 嫌な予感がして、すぐ横の物陰に隠れた瞬間、
 
ガガガン!!
 
 俺の周囲に3発ほど弾丸を撃ち込まれた。コンクリートの壁とパイプ類を支えるフレームに当たり、跳弾が跳ねまわる。
「あっぶねっ!」
 今のはヤバかった。慌ててライトを消す。幸いケーブルやらパイプやらがごちゃごちゃしてるおかげで、的にはならずに済んだ。
 3発撃ちこまれた後は弾はやんだが、撃ってきた張本人はまだいるはずだ。移動した足音もなにも聞こえてねえ。試しに、足元に転がってたなにかの金属片を、敵がいるであろう方向に投げ込むと、またもや数発撃ってきた。
「どこにいやがる……」
 敵の正確な位置がわからない。デタラメに撃ったところで、当たりはしねえだろう。こういうまどろっこしい駆け引きみてえなのは嫌いだ。
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