ばうんてぃ☆はうんど・vol.3~ほーんてっどほすぴたる《改訂版》
 位置を確認するために、危険を覚悟で頭を少し出し、すぐに引っ込める。すかさず弾が飛んできた。どうやら3点バーストで撃ってるようだ。無駄弾は撃ってこねえ。チンピラにしちゃ、ずいぶん訓練されてる感じだ。
 しかしこんな真っ暗な通路で、よく俺の頭が見えるもんだ。ライトも使ってねえってのに。
「ナイトビジョンか……?」
 ゴロツキにしちゃ贅沢な装備だが、それなら説明がつく。スコープなのかゴーグルなのかは、わからねえが。
「だったらこいつを使うか」
 殺傷力のある手榴弾は持ってきてねえが、スタングレネードなら持ってきた。SWATなんかが突入するときによく使う、破裂と同時にとんでもなくバカでけえ音と光を発するアレだ。
 こんだけせまい場所で炸裂されりゃあ、目と耳にかなりのダメージ食らうだろう。うまくすればナイトビジョン越しに目を潰せるし、悪くてもナイトビジョンをシャットダウンできるかもしれねえ。当然、俺も目つぶって耳ふさがなきゃ無事じゃいられねえが。
 さっき頭を出したときに、敵のだいたいの位置はつかんだ。移動した気配もねえし、まだ同じ場所にいるだろ。狙撃するわけじゃねえから、おおむねの場所さえわかれば十分だ。
 右手でレバーを押さえたまま、左手でピンを抜く。映画みてえに口でピンを抜くのは、ただのカッコつけだ。意味がねえ。
 息を吐き、大きく吸う。投げたらすぐ身を隠さねえと撃たれちまう。息を止め――グレネードを放り、すばやく身を隠し目をつぶり口を半開きにして耳をふさぐ。
 3発の銃声。跳弾が跳ねる。からんっと、グレネードが床に落ちる音。そして――
 
ばああぁぁぁんっ!!!
 
 耳をふさいでてもわかる、とんでもねえ爆音。さらに光。閉鎖空間だからなおさらだ。早起きして新聞読んでるじじいの部屋に投げ込んだら、新聞持ったまんまショック死しちまうだろう。
 直後に、少し先で人が倒れる『どさっ』という音。うまいこといったようだ。芝居じゃなければ、だが。
 銃のマズルを通路に突き出してみる。撃ってこねえ。さらに銃を敵の方に向けたまま、慎重に物陰から出る。ライトで照らしてみると、通路の真ん中に人が倒れているのが見えた。
 油断なくそいつにマズルを向けたまま、ゆっくりと近づく。倒れた――恐らく男だ――は、ぴくりとも動かねえ。
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