ばうんてぃ☆はうんど・vol.3~ほーんてっどほすぴたる《改訂版》
 それだけですぐに察したようだ。ディルクは、まず俺に視線を向け、次に通路の陰からサブマシンガンを構えている男を確認し、男に向かって斧を投げつけた。
「走るぞ!」
 ひるんだ隙に俺は弾を叩き込み、男が壁の陰に隠れてる間に、あかりを抱えながらディルクのもとへと走った。同時にディルクも援護射撃しながら、一緒に部屋から逃げ出す。
「なんだよ、あの斧?!」
「消防用の斧があったのでな。隙間からロックの部分を叩き壊した。それより、さっきの男は何者だ?」
「確証はねえが、俺達、おかしなゲームに参加させられてるみてえだぜ!」
「なるほど。金持ちが好きそうな道楽だ」
 廊下を出口に向かって走りながら情報交換。こんなとき、多くを語らなくても察してくれるディルクみてえに頭の回転の速い相棒は、実に頼りになる。
 階段室に飛び込み、1階を目指す。いくらチビとはいえ、人一人担いで全力で階段を駆け降りるのは、かなり骨が折れる。
「こいつ、身長の割にやたら重いな、くそっ」
「普段あれだけ食べているからな。剣術もやっているし、見た目以上に筋肉質なのだろう」
「そういや、なんかケツもしまってるな」
 頭を後ろにして肩に担いでるんで、ちょうど顔の横にケツがくる。前々からでかいケツだとは思っていたが、どうやら筋肉のせいだったようだ。
「本人には黙っておいた方が良いぞ」
「だな。またセクハラだのなんだの言われちまう」
 はっきり言って、ティーンネイジャーのガキの身体なんぞに興味はない。スカートがめくれてパンツも見えてるが、これも黙っておこう。
「てかカタナがガチャガチャ当たって、痛えんだよな」
 ちょうど俺の首の辺りに、忠吉の鍔が当たってる。
「目を覚まさせて、自分で走らせた方が良いのではないか?」
「さっきも試したけど、全然起きやがらねえんだこいつ」
「もう一度やってみろ。幸い、階段室に敵はいないようだ」
「だな。やってみっか。よっ……」
 あかりを下ろそうとした瞬間、うっかり手を滑らせちまった。そして、
 
ごんっ
 
 見事に、階段の手すりに後頭部をぶつけちまった。
「やべっ。大丈夫かな……?」
「いったー……」
 あかりが頭をさすりながら、身を起こす。
「おお。こういうの『ケガノコウミョウ』とかいうんだっけ?」
「文字通りだな」
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