ばうんてぃ☆はうんど・vol.3~ほーんてっどほすぴたる《改訂版》
「出かける前にちゃんとチェックしたもん! バッテリーだって、しっかり充電しといたし!」
「なら『本物』も混ざっているのかもしれんな」
「ほ、本物……?」
 今度は俺が聞き返す。
「さっき言ったように、もし仮にゴーストが荷電粒子的存在だとしたら、その電磁波の影響で電子機器がダウンすることも十分に考えられる。実際、ジルの言う『心霊スポット』では、電子機器が動かなくなるという症状も、頻繁に報告されているようだしな」
 ちょっと気が遠くなる。
「じ、じゃあ何か? ここにはマジで、ゴーストもいるってことか……?」
「あくまで、その可能性もあるというだけのことだ」
「いや――――!!!」
 あかりが発狂した。
「結局いるんぢゃーん!! なんだかんだヘリクツこねたとこで、やっぱいるんぢゃーん!! もぉやだ!! 帰る!! 今すぐ帰る!! カキューテキスミヤカに帰る――!!」
「おおお落ちつけ!! 大声を出すな!! ゴーストは騒ぐと寄ってくるとかなんとか、ママが言ってたし!!」
「そうなのか? それは貴重なソースだ」
「冷静にメモってんじゃねえ!!」
 スマホにメモってやがる。
「まあしかし、帰りたければ帰っても構わんぞ。そこらのゴロツキやチンピラの掃討など、僕一人でもできる仕事だ」
 と言うのも、今回俺たちはとある人物から、この病院を根城にしてるストリートギャングを一掃して欲しいと頼まれたのだ。
 その人物、この閉鎖された病院を買い取ってホテルとカジノを建てようとしているらしいのだが、いざ買い取ってみると中をギャングどもが占拠していたそうだ。立ち退き交渉しようにも、かなりイっちまった連中らしく、危なすぎて近づくこともできねえ。だがさっさと出てってもらわねえと、いつまでも工事が始められねえ。損失ばっかり膨らむ。そんなわけで、俺たちに『ゴミ掃除』の依頼がまわってきたわけだ。
 警察に行けと言ったんだが、『警察は嫌いだ』とかで結局俺たちが引き受けることになった。BH本来の仕事じゃねえが……
 にしてもだ。こんなに不気味な場所だとは思わなかった。しかも夜。明日の朝からやると言ったんだが『1日でも早い方が良い。今夜からやってくれ。でなきゃ、金は払わん』とか言われたもんで、仕方なく仕事を始めることにした。
< 4 / 50 >

この作品をシェア

pagetop