不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
「マイ、大丈夫?」
マイの頬は、コブシがかすった箇所が少し赤くなっていた。
「・・・いいの。・・・全部、私が悪いんだから。」
マイの目から大粒の涙がこぼれる。
そして、それに呼応するかのように、空からも大粒の雨が降り始めた。
「おい、海堂、立てるか?」
リョウが、私に対する対応とは違い、マイに優しく手を差し伸べる。
そして、リョウが、マイに腕をさし伸ばしてきた時、私の鼻に嗅いだことのある匂いを運んできた。
(あっ・・・・この匂いは・・・)
それは、屋上で嗅いだマルボロの臭いだった。