不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
しかし、家の近くまで来た時、また、コウが話かけてきた。
「だから、何で、連絡くれなかったんだよ。」
「はぁ?何のことよ。」
「引っ越した後、連絡くれると思って待ってたのに一回もくれなかっただろ?」
私は、昔、引っ越した当初のことを思い出してみる。
(あの時は、確か・・・あっ!)
引っ越した当初は、コウに手紙を書こうと思ってたけど、アパートに引っ越してすぐに、同じアパートに同年代の子がいて、すぐにその子と仲良くなったから、コウに手紙を書くのを忘れていたのを思い出した。
「・・・私、手紙、嫌いなのよ。」
なんとなく私は、気まずくなり、本当のことをいえなかった。
「・・・それは、昔のことだから許せるとしても、何で今日初めてあったばかりのジュンをジュンって呼ぶんだよ!」
「・・・意味わかんないんだけど、ジュンって呼んでって言われたから、呼んだんだけど?」
「・・・だから、それがだめだって言ってんだろ!」
「・・・だから、それが何でかわからないって言ってんの!」
私とコウは道端でにらみ合う。
ただ、私の背では、かなりコウを見上げなければいけず、不愉快だった。
(昔は、私の方が背が高かったのに!)