不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
そんな私を見て、コウがバイクにまたがる。
「ルミ、後ろに乗れよ!」
そこには、私の知らない大人な山下コウがいた。
「・・・・・・・うん。」
私は、コウの後ろにまたがる。
コウは、私に優しくヘルメットをかぶせてくれる。
「危ないから、しっかりつかまっておけよ!」
「・・・うん。」
私は、しっかりとコウの大きな背中に捕まる。
「いくぞ!」
そして、私は、コウのいうとおり最高の気分を味わう・・・。
今まで経験したこと無いようなスピード感。
景色があっという間に通り過ぎていく。
私は、時間が過ぎるのを忘れて、コウの背中でただ風が通りすぎる感覚を直接肌で感じた。
そして、気づいた時には、私は、爆音響かせるバイクが大勢集まっている駐車場に立っていた。
それは、まるで、兎について不思議な国に行ったアリスのような気分だった。