不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
ハンカチで汗を拭き、開いている席に座る。
昼前の電車は、それなりに空席が目立っていた。
(もう・・・入学式の日なのに疲れさせないでよ。)
心の中で愚痴を言う。
が、駅のホームを見ると、そこには、あの不良がいた。
(何なの?こんなところまでついてくるの?)
そんなことを考えていたが、不良は、私がいた車両ではなく、別の車両に入っていくのが見えた。
(・・・よかった。)
私が安心したと同時に電車のドアが閉まり、走り出した。
そして、予定通り10分で私の高校の駅に着いた。
電車を降りて見ると、そこには、あの不良も降りていた。
(何なの?)
不良が私に近づいてくる。
さすがにもう逃げられる距離ではなかった。