想うのはあなたひとり―彼岸花―


そんなことのできない私は無力ですよね。



「やっぱり皐はいつでもかっこいいよね。オーラが違うっていうのかな?」



小絵は興奮しながらこう弘樹に言う。



「お前うるさいよ。もっと周り見れば?小絵に皐は無理だって」




「ひどい!そんなこと言うなんて。弘樹は皐にひがんでるだけでしょ?」




小絵さん、それはきっと間違っています。
弘樹はあなたに気づいて欲しくて精一杯なサインをしているのだと思います。




「は?ひがんでないし。ちゃんと周りを見ろって言ってるの」



あ、弘樹の攻撃開始?
小絵さんはどう反撃するのかな?



「はいはい。あたしは皐だけで十分なの」




「…もうお前知らねぇ」





勝者、小絵さん。
惜しかったね、弘樹。



意外と人間観察って面白いのね。
そう感心していると教室が静かになった。




「皐!おはよー!!」




あぁ、王子様の登場ですか。





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