想うのはあなたひとり―彼岸花―


“登録されました”という文字を見たらなんだか嬉しくなった。


でも私から連絡することはない。
用事もないし、小絵に悪いし…私には椿がいるから。




私にとって彼氏という存在は椿が初めてだった。
温もりに触れたのも、キスをしたのも、椿が全部初めて。
そして今まで一緒にいられたのに突然隣から居なくなったのも初めて。
だからどうしたらいいか分からないの。
椿を想っていたいけど、顔が見れないまま毎日が過ぎて。
椿のいない日々に、私は慣れてかたのではないかと怖かった。

皐に会って私の中にこんなにも醜い感情があったのだと気づかされた。



私は、どうしたら?
どうしたら幸せになるの?




リビングが溜め息で埋まっていく。
そこから一刻も早く出たいと思った私は、学校へと向かった。

憂鬱さは引き続き。


電車の中でも溜め息を溢した。



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