想うのはあなたひとり―彼岸花―


このまま話を進めたら、私はリュウに説教をしてしまいそうだったから。
きっと泣いて叫んでいるのだろう。
だいたい想像がつく。




「ちょっと、待ってよ?妃菜子ちゃんが好きなのは皐だろ?」



「え!誰がそんなこと言ったのよ…」




慌ててリュウに言い返す私。
するとリュウは真顔でこう言ってきた。




「見てれば分かるよ。好きなんでしょ?皐のこと」




「す…好きじゃないわよ…。私には恋人がいるし…」




「ふーん。そうなんだ。妃菜子ちゃんは気づいてないみたいだね?」





「な…によ?」





私はリュウに言われるまで知らなかった。
心の中に隠してあった自分の気持ちは自分だけが知っていると思っていた。
でもそれは違ったんだ。





「顔にでてるよ?」






天使のような笑顔でリュウはこう言った。
そんな笑顔に騙されるもんですか。
絶対嘘だ。
顔に出てるわけない。



…そんなはずがないもの。




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