想うのはあなたひとり―彼岸花―
~エピローグ~


結婚式が終わり、彼岸花の咲く季節。
私たちはS町に住んでいる。
皐がどうしてもここに住みたいと言ったからだ。
私たちの結ばれたこの河川敷で紫音と遊びたいらしい。
そして紫音にとってかけがえのない場所にして欲しいらしいのだ。
こういうところが何だか可愛くて仕方がない。



そんなある日、あの人から電話がかかってきた。
私は忘れてはいなかった。
今日があの事件から丁度10年目ということに。
ある人とは駅前の喫茶店で待ち合わせることになった。




その時聞かされたの。
あなたの本当の真相を。





「ごめん、待たせちゃったね。元気にしてたかな?今日は紫音くんはいないの?」





目の前に現れたのは当時から少し老けた保科さん。
今年35歳になる。
最近昇格して部長補佐になったとか。
この歳で部長補佐になるのは異例だと前に言っていた。
保科さんとは結婚式以来。
保科さんも今7歳と2歳の立派なパパだ。





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