想うのはあなたひとり―彼岸花―


見れば見るほど、皐が椿とかぶってしまう。
そうすると会いたい気持ちが高まっていく。




「皐、謝れよ。妃菜子ちゃん怪我したんだぞ?」




「は?誰?ひなこって」




「この子!早く謝れよ!!」




おそるおそる、顔を上げていく。
すると私に近づいてくる皐の姿があった。
不機嫌そうに、私を足の先から頭の先まで舐めるように何度も見ながらこちらに近づいてくる。

明るく抜けた髪の毛が太陽に反射をし、黄金色に染まっていた。




「怪我したんだって?お前みたいな弱そうな体、軽い怪我で済んで良かったな。俺の運転テクニックが上手かったって証拠ってことで」




生意気そうな口調で話す皐を見て私は苛立ちを覚えた。



椿だったらそんなこと言わないのに…。




「ちょ!皐!お前何言ってんだよ!?テクニックとか関係ないだろ!謝れって!!」




「何で?何で謝らなくちゃいけないわけ?生きてただけで十分だろ?」





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