ハニー*スパイス
好きって言葉をこんなに大事に言ったのは初めてだった。
叶わない想いに、涙がこぼれそうになった。
それをグッと堪える。
「あたし、16で……子供だけど。
あたしのこと、目をそらさないで? ちゃんと見て?」
腕の中の岳さんはずっと黙ったままだった。
何を考えてるの?
何も言ってくれないとどんどん不安になっちゃうよ。
フルならさっさとフッて?
そしたら、あたし笑顔になって「冗談だよ」って笑い飛ばすから。
緊張して、体が固まる。
もう限界……そう感じた時。
腕の中から小さな声が聞こえてきた。
「苦しい……」