蝉時雨
何人かの小学生が一つの机に集まり児童書を読んでいる。
時折なにやら相談しながら読んでいるようだ。
何か課題の本だろうか??筆箱とノートが広げられている。
幼い子をつれた母親もいる。
子供用にあつらえられた小さな本棚の前に、二人で仲良く座っている。
絵本を選んでいるようで、何冊かの絵本が子供の目の前に並べられている。
中庭が望める大きな窓からは、太陽の光が射し込んで少し眩しい。
そんな緩やかな時間が流れる図書室の片隅で、私と彼は他愛もない話をした。
「もうこんな時間ですか…」
彼がそう言ったので、図書室の白い壁に掛かっている時計を見上げた。
針は午後4時を示す直前だった。
「すみません、本を読む時間を僕の話しでつぶしてしまいましたね。」
彼は少し申し訳なさそうに笑って
“悪いことしちゃったなぁ”
と呟いた。
『いえ、楽しかったです!!あ、私は和泉 唄《イズミウタ》です。』
何故だろう話している時でさえ自己紹介なんてしなかったのに
「僕は鳴海 透《ナルミトオル》です。」
だけど、そう言って笑った彼の顔は今日一番の笑顔で、名前を聞けてよかったと思った。
時折なにやら相談しながら読んでいるようだ。
何か課題の本だろうか??筆箱とノートが広げられている。
幼い子をつれた母親もいる。
子供用にあつらえられた小さな本棚の前に、二人で仲良く座っている。
絵本を選んでいるようで、何冊かの絵本が子供の目の前に並べられている。
中庭が望める大きな窓からは、太陽の光が射し込んで少し眩しい。
そんな緩やかな時間が流れる図書室の片隅で、私と彼は他愛もない話をした。
「もうこんな時間ですか…」
彼がそう言ったので、図書室の白い壁に掛かっている時計を見上げた。
針は午後4時を示す直前だった。
「すみません、本を読む時間を僕の話しでつぶしてしまいましたね。」
彼は少し申し訳なさそうに笑って
“悪いことしちゃったなぁ”
と呟いた。
『いえ、楽しかったです!!あ、私は和泉 唄《イズミウタ》です。』
何故だろう話している時でさえ自己紹介なんてしなかったのに
「僕は鳴海 透《ナルミトオル》です。」
だけど、そう言って笑った彼の顔は今日一番の笑顔で、名前を聞けてよかったと思った。