【短】王子様と罠に落ちた私
私はその日、日直だった。


愛美と静香はそれぞれ料理部、オーケストラ部の部長をしているから、授業が終わったらすぐに部活へと向かった。


「ばいば〜い、二人とも」
「夏樹ちゃん、日直がんばってね!」
「また明日ね、夏樹」


と二人を見送り、まだクラスの大半が残った教室で、5時間目の数学の黒板を消そうとしたその時。

教室に誰かが入ってきた。

別に気にも留めずに黒板を消していた私のところへ、足音は近づいてくる。

もしかして、愛美か静香のどちらかが忘れ物でも取りに来たのかな?


そう思い、足音のほうへ顔を向けたとき。




そこにいたのは、にっこりと秀麗な笑みを浮かべた学園の王子様こと、





上川卓也君



その人だった。


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