【短】王子様と罠に落ちた私
そんな彼が私になんの用だろう…?


どうやらクラス中の人間がそう思っていたようで、気づけば皆が私と上川君をじーっと見ていた。


うう…なんかいごごち悪い…
目立つの嫌いなのに…


そう思っていたたまれなくなってきたとき、


「倉田さん」


ようやく上川君のきれいな唇から言葉が紡がれた。


「は…はいな?」


てんぱっていたせいか、ちょっと変な返事になってしまった。

それに対してなのか何なのか、ふっと笑った上川君が


「――――― ?」


何かを言った。

でも、上川君のきれいな笑顔に見とれていた私は聞いてなかった。
だってほんとにきれいだったんだ!!
きれいなアーモンド形の瞳が細くなって、笑ったときにできる目じりのしわも、何もかも!!


自分の外見は気にならなくても、きれいなものを愛でるのは人間の性でしょ!!
< 6 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop