湘南銘菓 鳩サブレ    一枚目

湘南への 憧れ

飛行機で 羽田から千歳までは およそ90分のフライト、、、
茅ヶ崎から、羽田までの 道のりの方が
はるかに時間がかかるのだ。
今日は 車での旅程を選んだ。
隣には 栄子が 座っている。

「ねえ?厚木からの方が 早かったんじゃないの?」
私越しに江ノ島を眺めながら、 彼女は言った。
「、、、 ここを通りたかったんだ。君との初めての場所。」

今日、札幌に初めて 二人で旅行をすることになった。
母は 彼女を許してくれるのだろうか、、、
潔癖症の母には 彼女の許せないだろう部分を話してはいない。
でも お金のことで 困っていることは ほのめかしていた。

「これ あけていい?」
 二人が別々に用意したお菓子は 鳩サブレ 。
私の買ったほうの簡単包装のサブレを 彼女が取り出した。
「車じゃぁ、のど乾くっしょ。」 私の心配は無用だった。
「牛乳あるよ。」彼女は、サブレを 牛乳に浸しながら食べ始めた。
「母とおんなじ、、、、」
< 6 / 13 >

この作品をシェア

pagetop