+Sariel+




あたしは、クリーム色の天井を見上げる。




考えてみればずっとずっと、人に関心なんて、持とうとしなかった。


出来れば、誰にも近づきたくなくて。
誰も、近づけたくなくて。
そうやって、今までバリアを張ってきた。


絶対に崩そうとはしなかった、バリア。




あたしは、人として大事なものがかけてるのかもしれない。




…そう、あの時以来。






「んじゃま、とりあえず出よっか!」


「あ、会計…」


「いいよいいよ!!今日は、俺の奢り!!
アズサちゃん、先、外出てて♪」




男が立ち上がった。

あたしも、立ち上がる。



「…ありがと」



スタスタとそのまま、出入り口まで歩いていく。

カウンターのマスターと目が合って。
マスターが小さくこちらに笑いかけた。




あたしは軽く頭を下げると、青空の広がる外へと出て行った。







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