題 未 定

「入るよー彩。」

「どうぞ。」

見馴れたドア越しに
いつもと変わらぬいとこの声を聞き
静かにドアを開けた。


「春菜ちゃん、昨日はごめんね。」

ベッドから体を起こす彩を
手で制しながら慌てて言う。

「あぁ、いいのいいのっ!!ちょっと寄っただけだしね。あ、これ花瓶にさしとくー。」


「きれい…。ありがとう。ピンクか。可愛いね。」

なぜだかさっき花屋で見た
彼の表情と一瞬だぶって見える。


「…ん?うん。……なんか、今日は調子良いみたいね。」

彼がきつく握りしめた
銀紙を丁寧にはがしながら
彼女を見ると
嬉しそうに笑っていた。


「リハビリ頑張ってるもん。ここ2、3日の事ちゃんと覚えてるんだよ。」


ふふふと笑う彼女の目が
ふと不思議そうに
花瓶の花に移った。


「……青い花。」

「え??」

「匂いが…あれ??いつだろう……分からないけど…青い誰かが……持ってきてくれた花……。」

「彩??」

「あ、なんでもないの…。大丈夫。」


真っ白な病室に映える
ピンク色の花を見ていると
まっすぐなあの子を
思い出した。
彼を理解したいと必死になる姿が
私にはいつも
痛々しげにうつっていた。


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