その赤薔薇を手折る時

「一から料理の勉強するから!!そんで、うまい料理でお前の舌を肥えさせてみせる!っ・・・だから・・だから・・・・。」


ガバッ!!

男が勢いよく頭を下げた。


部屋の空気がいっきに静まる。


「どうか働かせてください!」



「・・・・。」



どうしたものかとアスカが目をそらした時だった。


「その態度ですよ。」


ルインの声が静けさを破った。

ハッとアスカがルインを見る。


「お前!なにいって・・・」




「お願いするならその場合にあった態度というものがあります。」



男の肩に手を置き、顔を上げさせる。


目に沢山の涙を溜めた男が顔を上げた。


その男にフッと笑いかけルインは手をさげる。



「さっきまでのあなたの態度、あれはいただけませんでした。ですが、今の態度はいいですよ。私はその姿勢を待っていたんです。」



「うっ・・・はぇ?」


男はサングラスを取り、涙をぬぐった。


「今のあなたなら私の主人の食事をまかせられます。 ね?坊ちゃん?」



いきなり話を振られアスカは一瞬たじろいだ。


だが。


「・・・あ、ああ。任せてやってもいい・・・ぞ。」
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