【短】隣のお兄ちゃんと私
「ね〜え、私たちの子供が結婚したら、私たち家族になれるわよね〜」


こののんびりした話し方は奈美のお母さんだ…

リビングを通りかかった俺は、なぜか戸の裏に隠れるように立ち止まってしまった。


「そうよね〜!ちょうど、義人と奈美ちゃんは同い年だし!いいじゃない!」


そう嬉々として応じたのは俺の母親。


普段から女の子が欲しい!と言っている彼女は、奈美をとても可愛がっていた。

「奈美を嫁になんて…」


うううっと、どこまで本気か分からないけど、泣き出したおじさんのおかげで話は終わったが…



俺は、なんだか腹が立っていた。


たとえ可愛い弟の義人であっても、奈美をとられたくない…


まだ小さな小さな奈美に対して、はじめて独占欲を感じた瞬間だった。
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