赤い御守り



今日、8歳の誕生日さえ、誰も祝ってはくれない。


朝、起きてまず母の口からは『おめでとう』ではなく『ピアノのお稽古』という言葉。


もう耐えられなかった。

玲は勉強やお稽古の毎日に悲しさしか見いだせず、真っ黒な瞳と心で、降りしきる雨の中、橋に手をかけた。




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