私、婚活します!
物心ついた時には、パパにドレスのような可愛い洋服や、靴を買って貰っていた。


「咲子は、可愛い女の子だから」


という言葉が、口癖のようだった。







「あの可愛い女の子が、今はこんなですってか……」


咲子は、自嘲気味に笑い、お茶を啜った。






その可愛い娘は、おっさん化しています。


結婚どころか、彼氏も居ない。






有名化粧品会社に勤める彼女の、休日はおっさん。



星になったパパは



きっと―――






「笑ってるんだろうな」


ポツリと呟くと、キッチンに立つ母親が声をかける。



「というか、咲子。彼氏とかは居ないの?」


「在り来たりだけど、仕事が恋人です、とでも言っておきましょうか」


ハハハと笑う咲子に、母親は苦笑いを見せる。


「最後に彼氏が居たのは、いつなの?」


「高1」


「こ……」


絶句する母親を無視し、テレビのチャンネルを替える。





《巷で流行りの婚活特集!》


ジャジャーンという効果音に、テレビの中で歓声が上がる。



「婚活……」




咲子も、結婚に憧れていないわけではない。


好きな人と結婚して、子供が生まれて、幸せな日々を送る。


「んだけど彼氏が居ないんだよなー」


お腹をポリポリと掻きながら、欠伸を噛み殺す。



テレビでは、女性のたしなみや、マナー、コーディネートをやっている。



《ダイエット等、自分磨きでこんなに美しくなりました》


美しく変身した女性が、テレビに出ているのを、咲子は、ぼーっと見ていた。




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