昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
しゃーない。

うちがかっちゃんを変に意識してまうことも、

かっちゃんの前では変な行動になってしまうことも、

かっちゃんの名前だけで、ぐらぐら動揺してまうことも。


違う。

違う。

違う。

違う。


何回そうやって塗り込めても、またすぐに浮かび上がってきてしまうことも。


生ぬるい、というよりも熱いくらいの風が、足元から膝を撫で上げた。

何十にもなる人の行き交い。

喉の奥まで熱くなって、このまま息吐いたら、怪獣みたいに火ふけるんちゃうかな。なんて思って。


風間は、絶対に責めへん。


うちがどんなに自己嫌悪しようと、

うちが、まだ。


かっちゃんのことが好きで、

かっちゃんのことがおっきくて…消せなくても。


こめかみを汗が伝う。

コツ、とうちの手にぶつかった、風間の手。


「夏休みはさぁ…って、気ィ早いけど」


くしゃっと眩しい髪に手をやって、風間は唇だけで少し笑った。


「…旅行とか、行こな」


その横顔にどうしようもない気持ちんなって。

おっきく頷きながら、風間の手の上に自分の手を重ねた。




うん、旅行。




行こな。













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