昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
ウダウダ考え事してたら、バイク停めてある場所通り過ぎてた。
…アホちゃうん、俺。そんな自分にまた自己嫌悪。
ポケットん中からバイクのカギ引っ張り出して、奥の方に停めてあるバイクに向かった。
「………え」
そこで、気づく。
自分のバイクに、なにか…だれかがのっかってることに。
俺が立てた足音に振り返った、その髪は首がのぞくくらい、短いショートカット。
『米が足りんカノジョ、おるんやろ?』
「米……」
「コメ?」
思わず口をついて出た言葉はそれやった。
不思議そうに復唱して、バイクの座席からひょいと飛びおりる。
俺の方に近づいてくるスニーカーは、よー見なれたコンバースの白で。
……優子。
「なんで……」
「バイト終わるん待ってた。ごめんな、ストーカーっぽいことしてもて」
何日かぶりに間近で見た、優子の顔。
ずっと頭ん中ぐるぐるして、こびりついとった顔。
…なんで、おるん。