昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜
**


バレンタインデーはもう終わったらしかった。

深夜に行ったコンビニの一角、ハート型のチョコレートが半額の札をはられて並べられとったから。


甘いモンは大好きやけど。


必ずしも大好きな人のもとに、そのバレンタインっていう甘いイベントがやってくるとは限らへんねん。


大学の専攻は女の子ばっかの文学部。

男子なんて文学オタクの前髪長いでっせ〜、みたいなヤツしかおらんから、今時のオシャレさんな男の子との関わりは皆無。

義理チョコすら、今年はあげる相手もおらん。


虚しいけど、そんなん思たら無性にチョコレート食べたなった。

でも売れ残りのチョコ買う女とかそんなん卑しいかんじやし、なんか寂しいやん。

やから、妥協案としてカップのチョコアイスを一個買った。雪降りそうなこんな真冬に。


…外に放っといても溶けへんわ。


一人暮らしの部屋で、なかなかあったまらへんコタツにすっぽり収まってアイスを食べる。


そんな2月14日。



15日になったその瞬間、台所の窓が乱暴に開いた。


< 4 / 367 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop