純情BABY
「!?」




引っ張られて、背中に柔らかい衝撃を受けて視界いっぱいに渋谷くんの端正なお顔が映る。




ベッドに倒されて、私の上に渋谷くんが覆い被さってる状態だと気付くまで数秒かかった。




「ししし渋谷くん!?」





『ん?何?』





な、何って、それはこっちのセリフなんだけどーっ。




いつの間にかメガネを外して、制服のブレザーも脱いだ渋谷くんは、私のブレザーのボタンに手をかけていた。





ちょ、ちょっと待てーーいっ!





「べ、勉強は!?」





その手を払いのけて言うと、クッとバカにするような笑みを浮かべる。





『何焦らしてんの?勉強なんて誘い込むための言葉に決まってんだろ』






バタバタ暴れる私の肩を抑えて話す冷たい口調。




さっきまでの優しい渋谷くんとはまるで別人だ。





焦らし?何それっ!
勉強=誘いの言葉だなんてそんなバカな話があってたまるかっ!!!




『アンタもそのつもり付いて来たんでしょ?俺と仲良くシたいって言ったじゃん』




こ、言葉の受け取り方間違ってるよ!



私は純粋に仲良くなりたいって意味で言ったんだってば!




『男と寝るの好きなんだろ?だって“噂の益田さん”なんだしな?』







“噂の益田さん”






その言葉に、頭が真っ白になって抵抗してた手足が止まる。





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