キミは聞こえる
子供のようにはしゃぐ班員たち。
それまでばちばちと火花を散らせていたことなどすっかり忘れてしまったかのように、袋を中心に嬉々として輪を作っている。
(…単純)
泉は一人冷めた笑顔を浮かべながら、心底楽しそうな彼らをすこし遠いところから眺めていた。
ふと、背後から水の流れる音が聞こえた。
近くに川があるのだろうか。
泉は、足音を忍ばせて班から離れ、音のする方へと向かった。
伸び放題の雑草をかき分けながら進んでいくと、次第に音は強くなり、やがて泉は林を抜けた。
泉は身震いした。
そこだけやけに冷気が充満して、水しぶきかそれとも霧だろうか、あたり一帯が白く煙って視界が悪い。
「鈴分川だ」
不意に聞こえた声にぎょっとする。
振り返ってどっと汗が出た。やっぱりこいつだ。
桐野進士。
神出鬼没な男である。
それまでばちばちと火花を散らせていたことなどすっかり忘れてしまったかのように、袋を中心に嬉々として輪を作っている。
(…単純)
泉は一人冷めた笑顔を浮かべながら、心底楽しそうな彼らをすこし遠いところから眺めていた。
ふと、背後から水の流れる音が聞こえた。
近くに川があるのだろうか。
泉は、足音を忍ばせて班から離れ、音のする方へと向かった。
伸び放題の雑草をかき分けながら進んでいくと、次第に音は強くなり、やがて泉は林を抜けた。
泉は身震いした。
そこだけやけに冷気が充満して、水しぶきかそれとも霧だろうか、あたり一帯が白く煙って視界が悪い。
「鈴分川だ」
不意に聞こえた声にぎょっとする。
振り返ってどっと汗が出た。やっぱりこいつだ。
桐野進士。
神出鬼没な男である。