空を見上げる


━━━side空━━━


「美奈の父さんさ、単身赴任してたときに亡くなっただろ?」


「うん…」


「俺、知ってたんだよ。美奈の父さんを…よくしてもらってた。すごく優しい人だった。でもな、甘えすぎてたんだよ。その優しさに…」


「うん…」


「ある日な、道でばったり美奈の父さんとあったんだよ。声掛けようと思った瞬間車が突っ込んできた。あの人…美奈の父さんに突っ込むってわかったのに…助けようと思ったのに体が動かなくて――――………見殺しにした。」


「でも…なんで病死って…」


「あのとき美奈も入院してたんだろ?」


「そういえば…」


「だから美奈の母さんは美奈に余計な心配かけさせたくなかったんじゃないか?」


「そうだったんだ…」


「責めないのかよ…」


「どうして?」


「許せなくないのかよっ…美奈の父さんに酷いことしたのに…なのに…」


「許すとか許さないとか…そんな選択肢しか私にはない?私は過去の空くんとお父さんの間になにがあったかは知らないけど、私は“今”が大切だよ…“過去”じゃなくて“今”が…」


「美奈…」


「だから自分を責めないで?お父さんだって責めてないはずだよ?それに私、こんなに空くんがすきだもん。今さら幻滅なんてしないよ。」
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