聖男子マリア様!? 聖なる騎士と天の歌姫
「うん、そう。召集。うん。そう。頼むね」
電話を切った途端、数メートル先の廊下の壁から光る扉が出現するのが見えた。
「な……!?」
扉を開けて出てきたのは二人の美青年。
一人は灰色の髪と瞳のイケメン。
一人は艶やか黒髪が特徴のイケメン。
もちろんウリエル様とラファエル様で。
すみませんが、もう少し違った登場の仕方ってできないんすかねぇ?
「どこに張る?」
合流するなりウリエル様がミカエル様に尋ねる。
「この先は音楽堂だ。たぶん、そこにやつらはいる。音楽堂全部を頼む」
「了解」
「その後はどうするのですか?」
「ガブ、おまえ薬持ってきてるな?」
ミカエル様がちらりとガブリエル様を見ると、白衣様は「もちろん♪」と嬉しそうにポケットから小さな小瓶を取り出して見せた。
虹色に輝くキレイな液体が揺れる。
「それ……変な薬じゃないっすよね」
過去のトラウマ経験が、オレに警戒心を与える。
「ふふ、それは大丈夫。これ、キミに飲んでもらった『夜帝薬』とは違うから」
そう、オレ。
この白衣の天使様のモルモットになった経験あり。
『夜の帝王ドリンク試作1号』という妙な薬のおかげで理性が崩壊し、大変な目にあった。