欲張りなすき・・・
「しょ・・・う・・・く・・ん」


翔を呼ぶ声が聞こえてきた。とても弱弱しい声だ。

「瑠璃香・・・」翔は瑠璃香の近くへ行った。瑠璃香の目はつぶったままだった。

「うわごとだよ。眠ったまま、ずっと翔の名前呼んでいるんだ。」


「しょ・・う・・く・ん・・・」


翔は瑠璃香の手を強く握り、「ここにいる。おれはここにいるよ、瑠璃香。」と話しかけた。


「瑠璃香・・・起きろよ」翔はさらに強く瑠璃香の手を握った。
そのときだった。瑠璃香の目がゆっくりと開いた。


「しょ・・・う・・くん?」瑠璃香の目から大粒の涙がこぼれた。

「ああ、瑠璃香何しているんだよ。」翔は優しく話しかけた。

「翔君・・・ごめんなさい・・・」

「いいよ。何も言うなよ。」

「・・・でも・・・」


その様子を見ていた毅は嬉しそうに、瑠璃香の意識が戻ったことを外の母親に伝えた

< 36 / 61 >

この作品をシェア

pagetop